ナック商会さんというリンパ浮腫患者さんの
弾性スリーブなどを販売している会社主催の
「在宅ケアセミナー」
に参加してきました。
午前中は座学、午後は実践実技で、
講師の先生方もその道のスペシャリスト。
急遽午後参加できなくなってしまい
とても残念でしたが、座学だけでも
非情に心がピシっとなる貴重な
お話しを聞くことができました。
福岡、、いや全国区で在宅ホスピスケアと
言えば大変有名な、二の坂クリニック院長の
二の坂先生。
穏やかながらいつもぐぐぐっと胸に突き刺さる
考え方を突き付けられる先生で、
この日も、「皆が同じことを言ってる時は要注意」
とした上で、WHOの言う健康という定義に
大いに疑問があるとして、様々な観点から、
「健康」の在り方、関わり方、実際の活動など
多岐に渡ってお話しくださいました。
その中で印象だった言葉の中に、
「改善するのは、状況であって、その人ではない」
というものがありました。
ソーシャルワークの基本でもありますが、
ついつい医療者や家族など患者さんに
関わる人たちは、あれがいい、もっとこうしたらいい、
なんでそれをしないのか?
と本人を変えようと詰め寄っていきがちです。
でもそうではなく、特に在宅ホスピスのように、
自宅で最期を迎えたいと思う方達にとっては、
もう変えようのない病気と、残りの命の時間が
そこにあります。
時には驚くほど悪環境であったり、
不幸に不幸を重ねたような人もいるでしょう。
でもその中でいかに支え、いかに共に
考え、その状況を少しでも改善しようとするのか。
その取り組む姿勢の基本を、
今日はたくさんお聞きすることができました。
その次には在宅ケアで必ずといっていいほど
目にする「浮腫」に関してです。
日本緩和浮腫医療協会の代表大塚先生から、
解剖整理などをわかりやすく教えていただきました。
大塚先生は私がリンパ浮腫ケアセラピストの
資格を取得した際の恩師でもあります。
懐かしい講義をじっくり聞きました。
そして最後は、ホスピスケアの実践を
本当の意味で行っている斎藤医院咽喉の斎藤先生から。
軽やかながらもビシビシ、ヒシヒシ
現場のスタッフなら刺さるであろう
言葉で私たちが現場で何をすべきか。
そして、
何をしてはならぬのか。
その精神を教えてくださったように思います。
何度も今日の講義で出てきた言葉です。
「何とかやりくりする」
浮腫があってもいい。
病気が治らなくてもいい。
うまく歩けなくてもいい。
でもそれに対し、
「何とかやりくりしようとする」
「何とかやりくりしようとしてくれる」
そんな医療者、スタッフ、家族がいる。
そう思えるだけで患者さんは、
ありがたいな、幸せだなと思って生きていける。
最終的に浮腫がとれなかった。
でも少なくとも悪化しなかった。
関わってもらってよかった。
そんな気持ちで最期を見送ることができたら、
ご家族にとっても、その心の在り方は
ちがうのだと。
それを支えていくのがホスピス精神であり、
それは別にホスピス病棟でなくても、
どこででも、誰にでも、当てはまり、
そして実践できることなのだと。
そして、もしその方が、病気があっても
障害があっても、何があっても、
「何とかやりくりしているなら」
その方はもう「健康」なんですよ。
というお話しだった。
このスライドをいつも頭に入れておきたい。
いっしょに「やりくり名人」になりましょう!