2019.3.11

在宅介護「ポータブルトイレ」使うか、使わないか。機能だけじゃない評価と選択。

在宅介護「ポータブルトイレ」使うか、使わないか。機能だけじゃない評価と選択。

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在宅訪問リハビリテーションにご自宅へ行っています。

時々、看護師さんやケアマネージャーさんから、
福祉用具を介護保険でレンタルしたり、
購入した方が良さそうだけれど、
評価してもらえないか?という依頼があります。

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依頼の趣旨は様々ですが、

・体力や筋力が落ちていて転倒の危険性がある
・介護者の負担大きく、○○を使った方がいいと思う
・もっとより良く動けるように○○を使ってはどうか?
・△△がうまくできないが、何か良い方法はないか

というようなご相談が多いです。

多くの場合、「福祉用具さん」と呼ばれる
杖や介護ベッド、車いすなど様々な製品を
介護保険のレンタルや自費購入ができるように
揃えてくれている業者さんに依頼して、

ご本人の状態を見たり、ご家族の希望を聞いて
見合ったものを選定していきます。

でもここで注意したいのは、

「福祉用具にご本人を当てはめようとしない」

ということです。

以前こんなことがありました。

ご本人は何とか介助してもらいながら、
トイレまで歩いていました。
ただそれは「大変そう」ではありました。

でも夜中のトイレだけでも自分で行きたい。
家族を起こしてしまうのは申し訳ない。

そんな気持ちで歩行器を使いたい。
と申し出てくださったのです。

ところが、「トイレまで移動が大変だ」と
聞いた福祉用具さんがオススメしたのは、

「ポータブルトイレ」

だったのです。 

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どうも気に入らない様子のご本人。

「ご自分ではどうですか?」

とご本人に聞いてみると、

・疲れるけどまだまだ歩いていける
・家族の助けは必要だけどできれば自分でやりたい
・歩けるうちはトイレまで行きたい
・家族を起こさずに自分で歩きたい

という気持ちを話してくれました。

次にご家族に介助の度合いや頻度、
大変に感じているところはどんなところか
などをご本人の前で確認しました。

すると、ご家族としては、

・むしろ見ている方が安心
・今のところ大した介助はしてないので何とかなっている
・立てなくなったら介護は難しいとは感じてる。
・なんとか自分で歩いていてほしい。

というお気持ちがわかりました。

つまりご本人もご家族も、

「歩きたい(歩いていてほしい)」

という気持ちが一致しており、
そのための介助も進んでしてくださっていたのです。

そうなると「ポータブルトイレ」の提案は、
手助けになるどころか、その想いや
その方の生活にとって心無い提案になりかねません。

その後実際の立ち上がりや普段の移動方法を
ご家族に介助してもらって確認したり。

どこのどんな部分にどんなモノがあると、
より移動しやすくなりそうか。

また機能的には、どの部分がもっと
改善するとご本人にとってもご家族にとっても
楽になりそうか。

機能面からも評価をさせていただきました。

結局その方はポータブルトイレは使わず、
筋力をつける体操や移動中の工夫を
今あるものでしながらやってみることに。

改めて目標や具体的にやるべきことが
見えて表情はとても良いものになりました。

いかがでしたか? 

道具は色々と良いものがあります。

でもそれを使う人の身体機能はもちろん、
「どんなお気持ちなのか」
をお聞きして評価することも
とても大切にしたいところです。 

そしてそれを私たち医療福祉の専門家が
いっしょに考えていく。

その過程もまた大切にしたいと思います。

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